医療機関におけるSNS活用は、患者さまとのコミュニケーションやブランディングに有効な手段として注目されています。
しかし、医療広告ガイドラインやプライバシー保護など、守るべきルールを理解せずに運用すると、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。
本記事では、医療機関がSNS運用で直面しやすいトラブルの実例と、それを未然に防ぐための具体的な対策をご紹介します。
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医療機関におけるSNS活用のメリット

SNSは医療機関にとって患者さまとの接点を増やし、信頼関係を構築する強力なツールです。
適切に活用すれば、集患効果だけでなく、地域医療への貢献や医院のブランド価値向上にも繋がります。
ここでは、医療機関がSNSを活用する主なメリットを3つご紹介します。
情報発信ができる
医療知識をわかりやすく発信することで、患者さまの理解促進や予防意識の向上に繋がります。
季節性疾患の注意喚起や施術前後のケアポイントなど、役立つ情報を投稿することで、フォロワーとの関係を深めながら専門性をアピールできます。
定期的な発信は患者さまの健康リテラシー向上にも貢献し、地域医療の質を高める効果も期待できるでしょう。
患者さまとの信頼関係を築ける
SNSを通じて院内の雰囲気やスタッフの人柄を伝えることで、患者さまとの心理的な距離が縮まり、初診のハードルを下げられます。
丁寧で親しみやすい発信を続けることで、口コミ以上の信頼を得られる場合も。
特に、院長の診療に対する想いやスタッフの日常的な取り組みを紹介することで、「この医院なら安心して相談できる」という印象を与えられます。誠実で一貫した発信がポイントです。
ブランディングになる
医院の理念や診療スタイルを伝える手段としても有効です。
地域性や対象とする患者層に合わせた発信を継続することで、他院との差別化されたブランド力を築けます。
例えば、小児科であれば子育て世代に寄り添った情報発信、美容皮膚科であれば最新の美容医療トレンドの紹介など、専門分野に特化したコンテンツで独自のポジションを確立できます。
SNS運用に関わる医療機関の主なトラブル

SNSは拡散力が高い反面、一度の投稿が大きなトラブルに発展するリスクもあります。
医療機関は特に社会的責任が重く、信頼を損なうと回復が困難です。
ここでは、医療機関がSNS運用で直面しやすい主なトラブルを解説します。
医療広告ガイドライン違反
SNSの投稿も医療広告に該当し、内容によっては医療広告ガイドライン違反と判断されます。
「絶対に治ります」といった誇張表現や、「3カ月で-10kg達成しました」などの患者さまの体験談の記載は禁止されています。
違反が発覚すれば、保健所からの是正指導や行政処分のリスクがあるだけでなく、Instagramではアカウント停止や投稿削除などのペナルティを受ける可能性もあります。
違反になる表現の具体例:
- 「日本一」「No.1」「最高」などの最上級表現
- 「必ず」「絶対」などの断定的な効果表現
- ビフォーアフター写真のみの掲載(治療内容・費用・リスクの記載がない場合)
- 他院との比較表現
- 著名人が推薦しているかのような表現
- キャンペーンなどにおいて、過度に費用を強調する
コミュニティガイドライン違反
Instagramではコミュニティガイドラインがあり、違反するとアカウントの停止や投稿削除などのリスクがあります。
違反の具体的な内容としては、手術中の血液や内臓が映った画像などのセンシティブコンテンツ、過度な宣伝行為、誤解を招くコンテンツが挙げられます。
美容医療や外科処置の症例写真を投稿する際は、過度な露出や生々しい医療行為の描写に特に注意が必要です。
参考:Community Standards | Transparency Center
患者さまのプライバシー侵害
症例写真や診療風景を投稿する際は、患者さま本人の明確な同意が必要です。
名前を出さなくても、症状の特徴や背景情報から個人が特定される可能性があります。
無断掲載は医療従事者の守秘義務違反に当たる場合もあるため、十分な匿名化処理や書面による同意書の取得など、慎重な対応が求められます。
特に顔が映る写真や特徴的な症状の場合は、細心の注意を払いましょう。
従業員のSNS投稿による炎上
スタッフの不適切な投稿や誤解を招く表現が瞬時に拡散し、炎上に発展する可能性があります。特に医療機関は社会的責任が重く、一度信頼を損なうと回復が困難です。
公式アカウントだけでなく、従業員の個人アカウントでの仕事に関する投稿も管理する必要があります。
「今日の患者さんは大変だった」といった何気ない投稿でも、プライバシー侵害や職業倫理に反すると受け取られ、医院全体の評判を落とす原因になります。
SNSで医療機関がトラブルを起こした事例

実際に起きたトラブル事例を知ることで、自院のSNS運用におけるリスク管理に活かせます。
ここでは、医療機関が陥りやすい代表的なトラブル事例を2つご紹介します。
医療広告ガイドライン違反の事例
「美容注射が特別価格1万円!通常価格より50%OFF!限定10名様」という大幅な割引価格を前面に出した投稿を行ない、医療広告ガイドライン違反として問題視されました。
医療広告では、患者の適切な医療機関選択を阻害する恐れがあるため、過度な費用の強調や限定感を演出した煽り表現は禁止されています。
こうした違反が発覚すると、保健所からの指導や、悪質な場合は医療機関名の公表などの行政処分を受けるリスクがあります。
SNS不適切投稿による炎上
ある病院の看護師と見られる人物がX(旧Twitter)で、「患者が転倒しても、インシデント書くの面倒だから、いつも隠蔽しちゃう」などと、不適切な医療行為の暴露を含む投稿を行い、炎上。病院側は公式コメントを出す事態となりました。
投稿内容は医療行為の流れや患者対応の一部を暴露したと見られ、内容の適切性や守秘義務の観点で問題視されました。
個人アカウントであっても、勤務先が特定されれば医療機関全体の信頼が損なわれます。
この事例では、SNS上での批判が拡大し、病院への問い合わせが殺到しただけでなく、既存患者の不安を招き、新規患者の減少にも繋がりました。
医療従事者個人の発信であっても、所属機関の評判に直結することを認識する必要があります。
医療機関のSNSトラブルを防ぐためのポイント
トラブルを未然に防ぐには、組織的な対策とルール整備が不可欠です。
ここでは、医療機関がSNS運用で実践すべき5つの防止策をご紹介します。
投稿前のガイドラインチェック
投稿する前に医療広告ガイドラインを確認し、虚偽・誇大・比較表現などが含まれていないかをチェックしましょう。
「最高」「絶対」などの断定表現、ビフォーアフター写真の不適切な掲載、体験談風の表現は特に注意が必要です。
禁止表現をリスト化してスタッフ間で共有しておくと、投稿時のミス防止に効果的です。チェックリストを作成し、投稿前に必ず確認する習慣をつけましょう。
症例写真は事前に本人の同意を得る
症例写真を撮影・投稿する際は、患者さまに利用目的(SNS投稿、ウェブサイト掲載など)や掲載範囲を明確に説明し、書面で同意を得ることが望ましいです。
口頭での同意だけでは後々トラブルになる可能性があります。
同意書には「SNSでの使用」「公開期間」「削除依頼への対応」などを具体的に記載しましょう。同意が得られない場合は絶対に投稿しないようにしましょう。
投稿内容のダブルチェック
一人の担当者に任せるのではなく、投稿前に複数人で内容を確認する体制を整えましょう。
一人では見落としがちな問題点を早期に発見でき、リスク回避に繋がります。
特に医療広告表現や患者さまの情報に関しては、院長や広報責任者による最終確認が望ましいです。
投稿のワークフローを明確化し、「作成→チェック→承認→投稿」という段階的なプロセスを設けることで、品質とコンプライアンスを担保できます。
SNSリテラシー教育の実施
全スタッフに対してSNS利用ルールやトラブル事例を共有し、情報発信の責任を理解させることが重要です。
公式アカウントだけでなく、個人アカウントでの注意点も含めた研修を行ないましょう。医療従事者としての倫理観を強化することで、個人アカウントでの不適切発信も防止できます。定期的な研修や外部講師による教育も効果的です。
新人スタッフには入職時に必ず教育を行ない、全員が同じ認識を持てるようにしましょう。
専門家に運用を依頼する
SNS運用に不安がある場合は、医療広告に精通した専門家に依頼するのも有効な選択肢です。
医療広告ガイドライン遵守のチェックや効果的な投稿設計、リスク対策までサポートしてもらうことで、安心して発信が行なえます。
特に開業したばかりのクリニックや、SNS運用の専任担当者を置けない小規模医院では、外部の専門家を活用することで、質の高い情報発信とリスク管理を両立できます。
SNS運用で医療機関が陥りやすいトラブルを未然に回避しよう
医療機関におけるSNS活用は、患者さまとの信頼関係構築やブランディングに大きな効果をもたらします。
しかし、医療広告ガイドライン違反やプライバシー侵害、スタッフの不適切投稿など、さまざまなリスクも潜んでいます。
もしSNS運用に不安がある場合は、医療広告に詳しい専門家への相談も検討してください。
適切なルールと体制を整えることで、安心してSNSの効果を最大限に活かせます。患者さまとの良好な関係を築きながら、医院の価値を高めるSNS運用を実現しましょう。
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