2024年以降、Google検索におけるAIO(AI Overview)の導入が進み、ユーザーが情報にたどり着く流れが大きく変化しています。
特に医療・クリニック業界では、AIOが検索結果に影響し、これまでのSEOや広告施策だけでは成果が出にくくなってきました。症状に関する画像やクリニック名が直接AIに引用されるケースも増えており、AIに最適化された情報発信の重要性が増しています。
本記事では、AIOの基本からクリニックが取り組むべき具体的な対策までを、最新情報にもとづいてわかりやすく解説します。
クリニックの「Webマーケティング」に
取り組もうと考えている医院・クリニックさまへ

Clinic Clickは、医療・美容クリニック専門のWebマーケティングの総合支援サービスです。
医療広告ガイドラインを考慮したコンテンツマーケティング/広告運用だけではなく、Webマーケティングの戦略立案、SNSマーケティング、Webサイト改善、毎月のレポーティングなど、豊富な経験と実績を持ったメンバーたちがPDCAを実行し、丁寧にサポートします。
AIOとは?
AIOとは、「AI Overview」の略で、Google検索に導入されているAI要約機能を指します。
ユーザーが検索した際に、従来の検索結果の上部にAIが自動生成した要約が表示される仕組みです。信頼性の高い複数のWebサイトから情報を抽出・統合し、質問に対する簡潔な回答を提供するのが特徴です。
医療や美容など専門性の高い分野では、AIにクリニックの情報が取り上げられ、そこから流入に繋がるケースも出てきました。
AIOは、検索環境が変化するなかで、情報発信のあり方そのものを見直す重要な視点として注目されています。
AIOがWebマーケティングに与える影響

Google検索では、AIOの導入により、ユーザーの検索行動が大きく変わりつつあります。
AIOがWebマーケティングに与える影響として、以下が挙げられます。
- ゼロクリック検索の増加
- 独自性が埋もれ差別化しにくい
- リスティング広告の効果が不安定に
- AIOの変化により戦略の効果が長続きしない
それぞれ見ていきましょう。
ゼロクリック検索の増加
AIOの普及により、ユーザーは検索結果ページのAIの回答だけで要点を素早く把握できるようになりました。
そのため、ユーザーがWebサイトのリンクをクリックせずに満足する「ゼロクリック検索」の傾向が強まっています。
自院のWebサイトにアクセスされる機会が減り、これまでのSEO施策だけでは流入数の確保が難しくなる可能性があります。
施術に関するシンプルな質問はAIの要約で完結してしまうことが多く、ユーザーとの接点が生まれにくくなる点は、クリニックにとって無視できない課題です。
独自性が埋もれ差別化しにくい
AIOでは複数のWebサイトから情報が抽出・統合され、要約として表示されます。
引用元のリンクは付いているものの、ユーザーは要約だけで内容を把握したと判断し、個別のサイトにアクセスしないケースが少なくありません。
その結果、各クリニックの特徴や強みといった独自性が十分に伝わらず、他院との差別化が困難になる可能性があります。
従来のように、自院の魅力をWeb上で直接伝えて来院に繋げる施策は、見直しが必要な時期にきていると言えるでしょう。
リスティング広告の効果が不安定に
検索結果画面の最上部にAIOが表示されるため、リスティング広告の視認性が下がり、クリック率の低下や、想定していた費用対効果が得られにくくなるケースも出てきました。
スマートフォンでは画面表示のスペースが限られるため、広告がスクロールしなければ見えない位置に押し下げられることもあります。
これにより、広告配信の成果が検索キーワードやタイミングによって左右されやすくなっており、安定した集患効果を得るのが難しくなっています。
なお、昨年米国のモバイル検索において、AIO内での広告掲載が正式に導入されました。検索キーワードに応じて生成されたAIOの下部に、横にスライドして閲覧できる広告(いわゆるカルーセル形式)が表示されるようになっています。

検索キーワードと関連性の高い検索広告やショッピング広告が、AIOに表示されます。日本でも今後同様の機能が導入される可能性があるため、動向に注目していきましょう。
参考:New ways for marketers to reach customers with AI Overviews and Lens
AIOの変化により戦略の効果が長続きしない
AIOは、表示形式や引用基準などの仕様が頻繁に変更されており、それに伴い検索結果の内容も日々変化しています。
そのため、一度策定したWeb戦略やコンテンツが、長期的に効果を維持できるとは限りません。
このような状況下では、戦略を立てたまま放置するのではなく、常に最新の動向を把握しながら柔軟に見直すのが重要です。
必要に応じて専門家の意見を取り入れながら対応していきましょう。
検索画面でのAIOの見え方
現在、よく見られる表示パターンは以下のとおりです。
- 引用元のリンクが表示される
- 施術に対応するクリニック名が表示される
- 症例写真が要約に引用される
先述のとおり、AIOの構成や表示形式は日々アップデートされています。
本章では、2025年5月時点の表示パターンを紹介します。
引用元のリンクが表示される

よく見られるパターンとして、引用元のリンクの埋め込みが挙げられます。
各文末にリンクが付与されされており、クリックすると引用元のページ一覧が表示され、そのなかから該当記事にアクセスできる仕組みです。
どの記述がどのサイトから引用されているのかが視覚的にわかるようになっています。
施術に対応するクリニック名が表示される

検索された症状や施術内容に関連して、対応可能なクリニック名が要約内に表示されるケースもあります。
「ほくろ 治療」のキーワードで検索した結果、AIが自動生成した説明の下部に、治療内容に対応する医療機関の名称が一覧形式で表示されました。
ほかにも、文中に自然な形でクリニックが紹介されている形式もありました。
クリニック名にはリンクが付いており、クリックすると該当施設の公式サイトへアクセスできます。
症状に関する画像が引用される

「〇〇 症状」などの検索キーワードにおいて、記事内に掲載された、症状に関する画像がAIOに引用されるケースが見られます。
引用されているのは症例写真単体ではなく、症状の情報が整理された画像が引用されていました。
画像をクリックすると引用元のページに遷移できるボタンが付いており、該当のページへアクセスできる仕組みになっています。
なお、こうした画像が引用されている記事は、必ずしも通常の検索結果で上位に表示されているとは限らず、検索意図との一致度が重視されていると考えられます。
AIOの活用メリット
表示方法や引用基準の変化によって課題もある一方で、うまく活用すれば自院の情報を広く届ける新たな機会にもなります。
AIOを活用するメリットは主に以下の3つです。
- 情報がAIOに引用され認知が拡大
- 専門性を伝える新たな接点になる
- 広告に頼らず露出のチャンスが得られる
詳しく解説します。
情報がAIOに引用され認知が拡大
検索結果の最上部にAIOが表示されるため、クリニックに関する情報が要約文として引用されるのは、認知度向上に非常に有効です。
AIOでは、引用元としてページへのリンクも表示されるため、信頼性の高い情報として取り上げられれば、より詳しい情報を求めてサイトにアクセスするユーザーを呼び込むことが可能です。
施術名や症状名など、検討段階が深いユーザーの検索キーワードで引用されれば、ゼロクリックに終わらず、直接の集患に繋がる可能性も高まります。
専門性を伝える新たな接点になる
AIOでは、検索キーワードに応じてAIが複数の情報を要約し、ユーザーにとって有益な内容を簡潔に提示します。
専門的な施術内容やクリニックごとのこだわりが引用されるケースもあり、検索結果上で自然に専門性をアピールできる新たな接点となります。
特に、症例や治療法に関する詳しい記述が取り上げられると、ユーザーは検索の初期段階からそのクリニックの知見や方針に触れられるでしょう。
従来のSEOや広告とは異なる方法でユーザーアプローチでき、クリニックへの信頼を高められます。
広告に頼らず露出のチャンスが得られる
自院の情報がAIOに引用されれば、広告を出稿せずとも検索結果の最上部に表示される可能性があり、露出の大きなチャンスとなります。
例えば「ほくろ除去 費用」「シミ 治療」などの事業性の高いキーワードで引用されれば、AIO経由でのサイト流入も期待できます。
リスティング広告に頼らずに認知拡大や集患に繋がる導線を確保できる点は、大きなメリットです。
また、広告と異なりクリック課金が発生しないため、コストを抑えつつ継続的な患者さまとの接点づくりが可能です。
AIOに対応するSEO戦略

記事内の情報をAIOに引用されるためには、AIにとって理解しやすい内容を意識したコンテンツ作りが重要です。
AIOに対応するためのSEO戦略として、以下が挙げられます。
- コンテンツにQ&A形式を取り入れる
- AI向けの構造化データをマークアップする
- AIに引用されやすい構造を意識する
- 定期的に最新の情報へ更新する
- Google検索での上位表示を目指す
- 検索画面の変化を追い、SERP最適化を継続する
順に見ていきましょう。
コンテンツにQ&A形式を取り入れる
AIOは、ユーザーの検索意図に沿った情報を抽出・要約する形式で表示されます。
なかでも質問と回答が明確に整理されたコンテンツは、AIにとって理解しやすく、引用されやすい傾向があります。
そのため、WebコンテンツにQ&A形式を取り入れるのは、AIOへの対応策として有効です。
例えば「治療は何回必要ですか?」「痛みはありますか?」など、ユーザーが抱える疑問をQ&A形式で明示すると、検索意図に合致しやすい構成になります。
AI向けの構造化データをマークアップする
Googleにコンテンツの構造を明確に伝えるのも有効です。構造化データ(Schema.org)の活用でAIOに情報を正しく認識してもらい、引用されやすくします。
「FAQ Schema」を使えば、よくある質問とその回答を明確に区分でき、AIが情報を整理しやすくなるでしょう。
また、「Article Schema」を用いると、記事のタイトルや著者情報、公開日などを明示でき、AIにもコンテンツの信頼性を伝えやすくなります。特に医療分野では、著者情報の明示が権威性の裏付けとなり、E-E-A-Tの観点からも重要です。
構造化データはSEOだけでなく、AI対応にも効果的な要素として注目されています。
AIに引用されやすい構造を意識する
AIOに引用されやすくするには、記事の構成をAIが理解しやすい形に整えるのが重要です。
有効なのが、結論から先に伝えるPREP法(結論→理由→具体例→結論)を意識した構成です。はじめに要点を簡潔に示し、その理由や具体例を補足すると、情報が整理されAIが把握しやすくなります。
また、記事内には「〇〇とは〜である」といった定義文や、「この治療は〜という特徴があります」といった要約文を含めると、AIが内容の意味づけをしやすくなります。
こうした構成の工夫は、AIによる引用の可能性を高めるだけでなく、ユーザーにとっても読みやすいコンテンツとなるでしょう。
定期的に最新の情報へ更新する
AIOの対応には、情報の鮮度を保つのも重要です。古い情報は信頼性が低いと判断されやすく、AIによる引用の対象から外れる可能性があります。
医療や美容の分野では、治療方法や使用機器、価格帯などが変化するケースも多く、定期的な情報の見直しが欠かせません。
例えば、数年前の施術メニューが放置されているページよりも、最新の症例や対応状況が反映されているページの方が、検索意図にマッチしやすく、AIにも評価されやすくなります。
Google検索での上位表示を目指す
AIOに引用されるためには、まずGoogle検索において一定の評価を受けるのが前提となります。
AIは複数のサイトから情報を収集するため、検索順位だけで引用が決まるわけではありませんが、上位に表示されているページは信頼性の面で有利に働く傾向があります。
そのため、基本的なSEO対策を徹底し、検索ユーザーの意図に合った高品質なコンテンツの提供が欠かせません。
タイトルや見出し、内部リンク構造の最適化など、通常のSEOで評価される要素は、AIOへの対応としても有効です。
検索画面の変化を追い、SERP最適化を継続する
AIOの表示形式や引用基準は日々変化しており、固定された対策だけでは継続的な成果を得るのが難しくなっています。
そのため、検索結果(SERP)の表示内容を定期的に観察し、自院がどのように扱われているかを把握する定点観測が重要です。
引用されていたはずの情報が別のサイトに切り替わっていたり、要約の構成が変わっていたりするケースもあります。
こうした変化を見逃さず、柔軟にコンテンツの構成や表現を見直していくと、AIOに取り上げられる可能性が高まります。
一度の最適化で完結するのではなく、継続的なモニタリングと改善が必要です。
AIOに対応した情報発信で選ばれるクリニックへ
AIOの導入により、検索結果の可視性や情報の届け方は大きく変化しています。
クリニックが選ばれるためには、これまでのSEOや広告に加えて、AIOに最適化された情報発信が必要です。
検索結果の上位表示を目指すだけでなく、検索画面の変化を継続的に観察し、改善を続けることが、AI時代における新たな集患戦略となるでしょう。
Clinic Clickでは、AIOに関する最新情報をキャッチアップし、クリニックさまのコンテンツに反映しています。Webサイトのアクセス改善や集患対策でお悩みのクリニックさまは、ぜひParaWorksのClinic Clickへご相談ください。
クリニックの「Webマーケティング」に
取り組もうと考えている医院・クリニックさまへ

Clinic Clickは、医療・美容クリニック専門のWebマーケティングの総合支援サービスです。
医療広告ガイドラインを考慮したコンテンツマーケティング/広告運用だけではなく、Webマーケティングの戦略立案、SNSマーケティング、Webサイト改善、毎月のレポーティングなど、豊富な経験と実績を持ったメンバーたちがPDCAを実行し、丁寧にサポートします。