【実例あり】医療広告ガイドライン違反を防ぐコンテンツ対応策を解説

クリニックのウェブサイトやSNSなどの広告表現が厳しく規制される時代において、医療広告ガイドラインを正しく理解し遵守することは、クリニックの信頼性維持と患者保護のために欠かせません。

本記事では、医療広告ガイドラインの基礎知識から違反事例、そして具体的な対応策までを詳しく解説します。

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目次

医療広告ガイドラインとは?

医療広告ガイドラインは、医療機関の広告表現を規制するルールで、虚偽や誇大な表現から患者さまを守るために厚生労働省が定めた重要な指針です。

インターネットの普及により医療情報が氾濫する現代において、患者さまが正確で適切な医療情報を得られるよう、医療機関の情報発信に一定の基準を設けています。

このガイドラインの重要性は年々高まっており、令和5年度において医療広告関係で審査対象となったサイトは347件にも上ります。これは前年度と比較しても増加傾向にあり、監視体制が強化されていることを示しています。
※出典:ネットパトロール事業について(令和5年度)

医療機関のWebサイトやSNS、広告など、患者さまの目に触れるすべての情報発信がこのガイドラインの対象となるため、クリニック運営者としては正しい理解と適切な対応が不可欠です。

医療広告ガイドラインに違反するとどうなる?

医療広告ガイドラインに違反した場合、まず行政指導や是正命令の対象となります。これらの措置は単なる注意に留まらず、クリニックの社会的信頼を大きく失墜させるリスクを伴います。

患者さまからの信頼は医療機関にとって最も重要な資産の一つであり、一度失った信頼を回復するには長期間を要します。

そのため、ガイドラインに抵触しないよう事前に対策を講じ、未然に防ぐことが何よりも重要です。

※出典:事務連絡令和6年8月23日 都道府県各保健所設置市 衛生主管部(局)御中特別

医療広告ガイドライン違反が発覚するまでの流れ

医療広告ガイドライン違反の発覚には、主に二つのルートがあります。

一つは厚生労働省が実施している組織的な監視活動です。専門チームがインターネット上の医療機関のWebサイトや広告を定期的にパトロールし、ガイドライン違反の可能性がある内容をチェックしています。

もう一つは、一般からの通報によるものです。患者さまや同業者、一般市民からの指摘により調査が開始されるケースも少なくありません。

特に競合他院からの通報や、治療効果に対する期待と現実の差に失望した患者さまからの報告が増加傾向にあります。

調査が開始されると、該当する医療機関に対して詳細な確認が行われます。問題があると判断された場合、段階的に指導や通達が発せられ、改善が見られない場合は前述の法的措置に発展する可能性があります。

指摘を受けたあとの対応フロー

万が一、医療広告ガイドライン違反の指摘を受けた場合、迅速かつ適切な対応が求められます。

まず最初に行うべきは、指摘された違反内容の正確な把握です。どの部分がどのような理由で問題視されているのかを詳細に確認し、ガイドラインの該当条項との照合を行います。

次に、問題となっている箇所の早急な修正・削除対応を実施します。Webサイトの場合は該当ページの修正や削除、印刷物の場合は配布の停止と回収を行います。この際、修正内容が適切であるかを専門家に確認してもらうことも重要です。

対症療法だけでなく、根本的な解決策として社内体制の見直しも必要です。なぜ違反が発生したのか、チェック体制に問題はなかったか、スタッフの理解度は十分だったかなど、再発防止の観点から組織全体の改善を図ります。

最後に、行政当局への報告と今後の対応策について説明を行い、信頼回復に向けた取り組みを継続していくことが重要です。

実際にあった医療広告ガイドラインの指摘事例

医療広告ガイドラインの違反はさまざまな形で発生しています。

実際の指摘事例を知ることで、どのような表現が問題視されるのかを具体的に理解することができます。

ここでは、多くのクリニックで起こりやすい典型的な違反パターンをご紹介します。

事例1:誇大表現

誇大表現は医療広告ガイドライン違反の中でも非常に多い事例です。患者を誘引するために効果を過大に謳ったり、根拠のない優位性を主張したりする表現が該当します。

違反例:「当院の最新レーザー治療で、しみは100%除去できます!他院では不可能な完璧な治療を提供しています。」

問題点:

  • 「100%」「完璧」などの絶対的な表現
  • 「他院では不可能」という比較優位の主張
  • 医学的に不確実な断定表現

適切な表現:「当院では最新のレーザー機器を使用したしみ治療を行っています。患者さまの症状に応じて、適切な治療プランをご提案いたします。治療効果には個人差があります。」

誇大表現は主観的な表現や断定的な表現を避け、客観的な事実に基づいた表現に変更することで対応できます。特に「必ず」「絶対」「最高」などの表現には注意が必要です。

事例2:価格表示

価格表示に関する違反も多く見られます。特に自由診療の場合、価格表示が不十分だったり、消費者を誤認させるような表示方法が問題となります。

違反例:「美容注射が特別価格1万円!通常価格より50%OFF!限定10名様」

問題点:

  • 通常価格の根拠が不明確
  • 限定感を演出した煽り表現
  • 治療リスクや副作用の説明なし

適切な表現:「美容注射:10,000円(税込) ※効果には個人差があります。まれに腫れや内出血が生じる場合があります。詳細はカウンセリング時にご説明いたします。」

価格表示では、実際にかかる費用を明確に表示し、追加で発生する可能性のある費用についても明記することが重要です。また、比較表現を用いないことや、税込表示をすることも必要です。

よくある違反パターンとして見落としやすいポイント

医療広告ガイドラインには様々な規制があり、クリニックのウェブサイトや広告物で見落としがちな違反ポイントがあります。

以下に主な違反パターンと対応方法をまとめました。

限定解除要件の記載漏れ

自由診療の場合に最も多く見られる違反は、限定解除要件を満たしていないケースです。

自由診療の広告には以下の要件を満たす必要があります

  • ウェブサイトに問い合わせ先が明記されている
  • 治療内容の詳細説明
  • 費用の総額(税込み価格)
  • 治療期間や回数
  • 主なリスクや副作用
  • 未承認医薬品等の使用がある場合はその旨

副作用やリスクの記載が不十分だったり、価格表示が曖昧だったりすると、ガイドライン違反となります。

「美容治療により、まれに腫れ、内出血、感染等が生じる可能性があります」といった具体的なリスク説明と、「カウンセリング料:無料、施術料:50,000円(税込)」のような明確な価格表示を心がけましょう。

症例写真

症例写真の使用については、多くのクリニックで誤解が生じやすい分野です。実際に自院で施術した患者さまの症例写真であれば掲載可能ですが、いくつかの重要な条件があります。

  • 実際に自院で治療した患者さまの写真
  • 「効果には個人差があります」等の注意書き
  • 治療内容、期間、費用の明記
  • 主なリスクや副作用の説明

NGな使用例:

  • フリー素材やストック写真の使用
  • 他院の症例写真の転用
  • 効果を強調するための画像加工
  • 極端に良好な結果のみの掲載

患者さまの症状や体質によって治療結果は大きく異なるため、この点を必ず文章で補足説明することが求められます。

実績

治療実績の表示についても注意が必要です。他クリニックと比較して優位性を示すような表現や、医師個人の手術実績を強調する内容は禁止されています。

適切な実績表示:

  • クリニック全体での症例数
  • データの収集期間を明記
  • 「当院では2020年4月~2024年3月の4年間で、○○治療を1,000症例実施しました」

NGな表示例:

  • 「地域No.1の実績」
  • 「○○医師の手術成功率98%」
  • 「他院を圧倒する症例数」

実績を示す際は、客観的で検証可能なデータに基づき、誇張のない表現を心がけることが重要です。

口コミ

患者さまからの口コミや感想については、その内容がいかに事実であっても、医療機関のWebサイトや広告での掲載は原則として禁止されています。

禁止される口コミ掲載:

  • 患者さまの体験談や感想
  • 「○○さん(30代女性)の声」
  • 治療効果に関する患者さまのコメント

ただし、GoogleマップやEPARKなどの第三者プラットフォームに投稿された口コミについては、医療機関が直接掲載しているわけではないため、この限りではありません。

以上のポイントに注意して広告を作成・監修することで、医療広告ガイドライン違反を防ぐことができます。

医療広告ガイドラインに配慮した表現テクニック

医療広告ガイドラインに違反しないよう配慮しながらも、効果的に医療機関の特徴や治療内容を伝えるためには、適切な表現テクニックが必要です。

ここでは、ガイドラインに準拠しつつ、患者さまに適切に情報を伝えるための表現方法を解説します。

誇張表現を避けた伝え方

医療において「絶対」や「必ず」といった表現は、医学的に不確実性が存在する以上、使用できません。しかし、クリニックの姿勢や取り組み方を伝えることで、患者さまに安心感を提供できます。

誇張表現を避けるポイント

  • 断定的な表現を控える
    • 「100%安全」→ ◯「安全性に配慮した治療を行っています」
    • 「完全に痛みがない」→ ◯「痛みを軽減する工夫をしています」
  • 最上級表現を避ける
    • 「最高の技術」→ ◯「丁寧な治療を心がけています」
    • 「最先端の設備」→ ◯「〇〇年に導入した最新の医療機器を使用しています」
  • 客観的事実に基づく表現を心がける
    • 「驚異的な効果」→ ◯「多くの患者さまに効果が見られています」
    • 「画期的な治療法」→ ◯「〇〇年から導入されている治療法です」

効果や効能の表現

治療効果について説明する際は、エビデンスに基づいた客観的な情報提供を心がけ、断定的な表現を避けることが大切です。

効果・効能を適切に伝えるポイント

  • エビデンスの明示
    • 「多くの患者が効果を実感」→ ◯「当院の調査では○○%の患者さまに改善が見られました(○○年〜○○年、対象○○名)」
    • 「世界中で認められた治療法」→ ◯「○○学会のガイドラインでも推奨されている治療法です」
  • 可能性や期待値として表現
    • 「この治療で痛みが消えます」→ ◯「この治療により痛みの軽減が期待できます」
    • 「リスクなく治療できます」→ ◯「一般的に合併症のリスクは低いとされています」
  • 個人差があることを伝える
    • 「誰でも効果が出ます」→ ◯「症状や体質により効果には個人差があります」
    • 「すぐに効果を実感できます」→ ◯「効果の現れ方には個人差があります」

安心感を与える表現の使い方

患者さまに過度な不安を与える内容も、誇大広告として扱われる可能性があります。恐怖心を煽るような表現ではなく、希望や選択肢を提示する表現に切り替えることが重要です。

適切な安心感を与える表現のポイント

  • 恐怖心を煽らない
    • 「放置すると取り返しがつかなくなります」→ ◯「早期の治療が効果的な場合があります」
    • 「他院では適切な治療が受けられない可能性があります」→ ◯「当院では○○の治療に力を入れています」
  • 選択肢を提示する
    • 「この治療法しかありません」→ ◯「患者さまの状態に応じて複数の治療法をご提案しています」
    • 「今すぐ決断しないと手遅れになります」→ ◯「治療のタイミングについてもご相談に応じています」
  • 前向きなメッセージを心がける
    • 「このままでは悪化する一方です」→ ◯「適切な治療により症状の改善が期待できます」
    • 「こうなったら治療は困難です」→ ◯「早期の対応で、より効果的に治療できる場合があります」

※参照:医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 (第5版)P.18

医療広告ガイドラインに沿った表現を心がけることで、虚偽や誇大な広告を避けつつも、患者さまに必要な情報を適切に伝えることができます。

常に患者さまの立場に立ち、正確でわかりやすい情報提供を心がけましょう。

医療広告ガイドラインに対応できる支援会社の見極め方

医療広告ガイドラインを遵守しながら効果的なマーケティングを行うには、専門知識を持った支援会社の存在が重要です。

しかし、すべての会社が医療広告に精通しているわけではありません。信頼できるパートナーを見つけるためのポイントを紹介します。

医療広告ガイドラインへの理解度があるか

まず最重要なのは、医療広告ガイドラインに対する深い理解と最新情報のキャッチアップ能力です。

ガイドラインは定期的に改訂されており、解釈も時間とともに変化しています。

支援会社を見極めるためのチェックポイント

  1. 具体的な違反事例を説明できるか
    • 単に「これはダメです」というだけでなく、なぜその表現が違反になるのかを具体的に説明できる会社を選びましょう。
  2. ガイドライン改正の履歴を把握しているか
    • 過去の改正内容と、その背景や理由を理解しているか確認しましょう。
  3. 医療広告に関する専門的な研修を行っているか
    • 定期的な社内研修や勉強会を実施し、スタッフの知識を更新している会社が望ましいです。
  4. 相談業務に対応できるか
    • 「これはグレーゾーンだからNG」と安易に判断するのではなく、なぜグレーゾーンなのか、どう改善すべきかを具体的に説明できる会社を選びましょう。

美容クリニックの支援実績が豊富か

美容医療分野は医療広告ガイドラインの中でも特に厳しい規制がかかる分野です。

この分野での豊富な実績がある会社は、ガイドライン対応のノウハウが蓄積されているだけでなく、患者さまの心理や悩みに寄り添ったコンテンツ制作も可能です。

実績を確認するポイント

  1. 美容医療分野での具体的な支援実績
    • 美容クリニックのウェブサイト制作やマーケティング支援の実績数を確認しましょう。
  2. 美容医療特有の表現ノウハウ
    • ビフォーアフター写真の適切な掲載方法や、自由診療の価格表示などについて、具体的なノウハウを持っているか確認しましょう。
  3. 患者視点のコンテンツ企画力
    • 治療内容の説明だけでなく、患者さまの不安や悩みに寄り添った内容を提案できるかをチェックしましょう。
  4. 問題解決の事例紹介
    • 過去にガイドライン違反を指摘された医療機関をどのように改善支援したかの事例があるか確認しましょう。

SEOも含めて提案できるか

医療広告ガイドラインの遵守は最低限の条件であり、それだけでは集患効果は期待できません。ルールを守りながらも、検索エンジンで上位表示され、患者さまに選ばれるコンテンツを制作できる会社を選ぶべきです。

SEO対応力を見極めるポイント

  1. 医療分野のSEO成功事例
    • 医療機関のウェブサイトのSEO対策で成果を上げた具体的な事例を持っているか確認しましょう。
  2. ガイドライン遵守とSEOの両立方法
    • 違反せずにSEO効果を高める具体的な手法を提案できるか確認しましょう。
  3. コンテンツマーケティングの知識
    • 単なるキーワード対策だけでなく、患者さまにとって価値あるコンテンツを提案できるかをチェックしましょう。
  4. データ分析能力
    • アクセス解析などのデータを基に、効果検証と改善提案ができるかを確認しましょう。

適切な支援会社を選ぶことで、医療広告ガイドラインを遵守しながらも効果的なマーケティング活動が可能になります。

複数の会社に相談し、自院のニーズに合った信頼できるパートナーを見つけることをお勧めします。

医療広告ガイドラインを正しく理解し、信頼される情報発信をしよう

医療広告ガイドラインは、一見すると制約が多く、クリニックの魅力を伝える上で障壁となるように感じられるかもしれません。しかし、このガイドラインの本質は、患者さまに対して正確で適切な医療情報を提供し、安心して治療を受けられる環境を整えることにあります。

医療広告ガイドラインという枠組みの中で、いかに効果的で魅力的な情報発信を行うかが、これからのクリニック経営の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

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