Googleマップを活用したインバウンド集客のポイントを解説

はじめに

Googleマップを使ってインバウンド集客を強化したいと考えている店舗オーナーは多いのではないでしょうか。

2023年にコロナウィルスの流行による行動規制が解除されると、日本に旅行する外国人の数はコロナ前から更に増加し、2024年には過去最高の水準を記録するとも予想されています。

飲食店や宿泊業など、外国人を迎えるビジネスを営むオーナーにとって、Googleマップを使った集客は欠かせないものであり、急務でもあるでしょう。

今回は、Googleマップを使ってインバウンド集客をするためのポイントをお伝えします。

すぐに始められることもありますので、ぜひ実践に役立ててください。

目次

なぜ、インバウンド集客にGoogleマップなのか?

訪日外国人は年々増加

日本を訪れる外国人観光客の数は、東日本大震災後の2012年頃から急増しはじめ、それ以降も毎年増加し続けています。

コロナウィルスの流行による行動規制で2020年から2022年は激減したものの、2023年5月に世界的に緊急事態宣言が終了し、海外旅行が解禁されると日本へのインバウンドも急回復しました。

東京オリンピックの開催も外国人の日本への関心を高め、訪日意欲を後押ししたものと考えられます。

最終的に2023年のインバウンド数は約2,500万人と、2016年を超える水準となっています。

2024年は、2023年を超え、過去最高の水準を記録するとも予想されています。

参考:日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データサイト

https://statistics.jnto.go.jp

増加しているのは客数だけでなく、金額面も同様です。

国土交通省の観光白書によると、2023年、訪日旅行での一人あたりの消費単価はコロナ前の2019年と比較すると31%増えています。

23年の訪日旅行客の消費額は総額で5兆円を超え、過去最高を記録しています。

お金の使い道としては、買い物よりも宿泊や飲食、アクティビティなどの体験を重視する傾向があり、より満足度の高い「日本でしかできない体験」を外国人が求めていることが分かっています。

参考:国土交通省 「観光白書」

https://www.mlit.go.jp/statistics/file000008.html

参考:日本経済新聞「訪日客消費が初の5兆円超 23年、人数はコロナ前8割に」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170F20X10C24A1000000

2024年以降も引き続き日本へのインバウンドは増加し続けると予想され、インバウンドは今の日本にとって大きな収入源となっています。

圧倒的に利用者が多いマップアプリ

米data.aiの調査によると、2022年にGoogleマップアプリの全世界ダウンロード数は10億件を突破しました。

世界200以上の国で利用されており、世界中のユーザーに慣れ親しんだ地図アプリだと言えます。

海外旅行者が元々利用しているプラットフォームでインバウンド対策を行えば、よりスムーズに旅行者の目に留まり、来客のチャンスにもつながるでしょう。

参考:日本経済新聞  App Annie Japan、「Googleマップアプリ10億ダウンロード突破」について発表

https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP642755_V21C22A0000000

自動翻訳機能で手間がかからない

Googleマップは多言語に対応しており、自動で翻訳してくれる機能があります。

全81の言語に対応し、世界中のユーザーが自分の言語でお店の情報を見ることができます。

また、レビューの内容が訪問を決める重要な情報源になるのは、インバウンド客も同じです。

Googleマップは、クチコミの自動翻訳に対応しており、ユーザーの設定言語に合わせて翻訳してくれます。

クチコミを集めることはMEO対策では重要な施策のひとつですが、インバウンド集客においても同様に大変有効な対策だと言えます。

新たな媒体を増やす必要がない

インバウンドのみに特化した集客対策は、時間と費用がかかったり、予測不能な事態に振り回される可能性があったり、リスクに感じる方もいるでしょう。

その点Googleマップは、多くの機能は無料で利用でき、費用をかけずに情報発信ができます。

また、掲載する情報を最適化することで、国内需要、海外需要の両方に働きかけることも可能なのです。

最小限の手間と費用で国内とインバウンドの両方にアプローチできるのは大きなメリットでしょう。

インバウンド対策の具体的な方法

それでは、ここからはインバウンド対策の具体的な方法をお伝えします。

その前に、ビジネスのオーナー確認はお済みでしょうか?

これからお伝えする対策や設定を行うためには、ご自身がビジネスオーナーであることをGoogleに申し出る手続きが必要です。

まずはオーナー確認の手続きを済ませましょう。

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Googleマップの自動翻訳機能について

先ほどの項でGoogleマップには自動で多言語に翻訳できる機能があるとお伝えしました。

全ての項目が翻訳されるわけではなく、翻訳される項目、されない項目があります。

自動翻訳されない項目は、Googleマップ、Googleビジネスプロフィールの仕様に合わせて最適化すると良いでしょう。

【自動翻訳される項目】

営業時間住所電話番号属性クチコミ

【自動翻訳されない項目】

ビジネス名ビジネスの説明メニュー商品サービス最新情報(投稿)住所のビル名など固有名詞部分

【重要】ビジネス名を多言語で表記する方法

まず、最も重要な対策であるビジネス名の多言語設定を行いましょう。

こちらは、英語環境のGoogleマップで「Koenji remen(高円寺 ラーメン)」で検索した結果画面です。

英語表記と日本語表記が混在しているのが分かると思います。

ビジネス名の多言語設定をしていると、ここには設定したビジネス名が表示されます。

日本人にとっては漢字やひらがなは母国語ですから一目見れば分かりますが、外国人にとっては意味の分からない記号のようなものです。

看板を読むことすらできないお店より、母国語で表示されたお店に行こうと思うのが、外国人客の自然な心理でしょう。

また、ビジネス名は自動翻訳されない項目だとお伝えしましたが、お店によってはGoogleによって自動で変換されている場合があります。

ただGoogleによる設定が正しいとは限らないので、まずはご自身のお店の表示がどのようになっているか確認する必要があります。その上で任意のビジネス名に変更しましょう。

ビジネス名の多言語設定方法

①ビジネスの管理者アカウントにログインする

②Googleマップを開き、設定したい言語に切り替える

 まずはご自身のGoogleマップの表示設定を該当する言語に切り替えます。

ハンバーガーメニューから、言語設定へ

設定したい言語を選びます。

③お店の情報を表示させて、編集する

店名を検索して、ご自身のお店の情報を表示させます。

店舗の基本情報欄の最後、「Suggest an edit」(英語の場合)というボタンから編集ページに入る。

表示させたい店名を入力します。

下の「Located within」は番地以下、ビル名などの表記になります。

ここも自動翻訳されない部分なので、スムーズにお店にたどり着いてもらうために、記載しておくとなお良いです。

他の言語の設定も行いたい場合は、①~③の手順を繰り返します。

設定言語ですが、できれば英語、韓国語、簡体字(主に中国)、繁体字(主に台湾)の4つを設定することをおすすめします。

訪日外国人数は、韓国、台湾、中国、香港、米国の順で多く、この5か国で訪日外国人の約7割を占めます。

そして英語はそれ以外の国でも使える人は多いので、ここまで設定できればほとんどの訪日外国人の使用言語に対応できることになります。

店名を韓国語や中国語に翻訳するのが難しい場合は、英語だけでも設定しておくと、その他の言語環境でも英語表記が優先して表示されるので、最低限英語は設定しておきたいです。

最後に、ビジネス名の多言語設定時の注意点をいくつかお伝えします。

①管理者のアカウントにログインした状態で行う

 ⇒設定内容をスムーズに反映させるため

②設定後にアカウントの言語設定を日本語に戻して設定状態を確認する

 ⇒日本語の設定が変更されていないか確認するため

その他非対応項目の多言語表記

ビジネス名の他に、ビジネスの説明、メニュー、商品、サービス、最新情報(投稿)は自動翻訳されない項目となります。

設定方法や、投稿の方法は日本語環境と同じです。

お店がインバウンド客をどの程度重視しているのかにもよりますが、メイン客が日本人であれば、日本語での見やすさも保ちながら、可能な範囲で外国語にも対応するとインバウンド集客にも効果が見込めるでしょう。

具体的には下記のような対策がすぐに対応できるものになるかと思います。

・ビジネスの説明は日本語の下に外国語表記を追加

・メニュー、商品、サービスは説明欄に外国語表記を追加

・外国語で投稿を行う

英語の店舗説明が並記されている例

写真を掲載する

AIの写真認識技術は進化を続けており、Googleも、「かこって検索」や「写真で発見」など、AIの写真認識技術を使用した新機能を続けてリリースしています。

Googleマップでも、ユーザーが投稿した写真が料理名とともにメニュー欄に掲載されたり、ユーザーのレビューに基づき写真に料理名のラベルが記載されたり、画像を活用した機能が増えてきています。

このことから、お店のプロフィールに写真がたくさん掲載されていれば、ユーザーの検索にヒットする可能性が高くなると言えます。

それと同時に、日本語が分からない外国人にとっては、たくさんの写真が載っていることでお店のイメージが分かり安心できるので、来店のきっかけにもなります。

写真は、お店のオーナーが投稿するもの、お店を訪問したユーザーが投稿するものがありますが、どちらの写真も集客には有効です。

ユーザーが投稿した写真がメニュー欄に表示されている例

プロフィールを最適化する

店舗の「属性」と呼ばれる詳細情報を正しく設定することも重要です。

インバウンド客がお店に求めるサービスの内容は必ずしも日本人と同じではありません。

例えば、レストランであれば、ベジタリアンやヴィーガンは日本人よりも外国人に圧倒的に多く、お店を選ぶ条件とする方も少なくないです。

キャッシュレス決済の有無も、外国人にとっては大変重要な情報です。

日本はキャッシュレス化が約30%と相対的に遅れていますが、例えば韓国のキャッシュレス比率は約93%にものぼり、キャッシュレス決済がお店選びの条件になるインバウンド客も多いでしょう。

他にもWi-Fiの有無、バリアフリー対応などの情報を正しく設定することが大切です。

この属性部分の設定は自動翻訳されるので、日本語環境で通常通り設定をすれば、ユーザーが設定した言語に翻訳されます。

決済方法の設定画面

店舗の属性情報 英語での表示例

オンライン予約対応

Googleマップから直接来店やサービス利用、チケットの予約ができるオンライン予約機能はインバウンド客にとってとても便利な機能です。

外部の予約プロバイダと連携してGoogleマップの画面上で予約が完結できる仕組みになっています。

ユーザーの言語環境で利用でき、Googleアカウントがあれば簡単に予約できるので、インバウンド客にとって、ストレスフリーに予約ができる方法といえるでしょう。


利用するには、オーナー確認を済ませた上で、Googleビジネスプロフィールからの設定が必要です。

管理画面トップ、「予約」のアイコンから予約設定画面に入り、「プロバイダを追加」から媒体を選んで各予約媒体に対して連携設定を行います。

連携の際には、各プロバイダと契約をしている必要があります。

日本では、グルメ系だとぐるなび、Ebisol、Retty、美容系だとOZmall、EPARKなどのプロバイダとの連携が可能です。

元々契約しているプロバイダがあれば、そのプロバイダとの連携設定を行うとスムーズです。

他のプラットフォームの活用

Googleマップ以外の旅行系地図アプリに登録してご自身のお店を掲載して露出を増やすとさらに効果的です。

多くのプラットフォームに掲載すればその分インバウンド客の目に留まる機会も増えるため、集客のチャンスになります。

インバウンド客に利用される主な地図アプリには以下のようなものがあります。

・GOOD LUCK TRIP

・DiG JAPAN!

・Time Out Tokyo Map Viewer

・JAPAN Trip Navigator

・JAPAN TRAVEL NAVIGATOR

・Trip Advisor

また、これらの世界的に利用されているプラットフォームへの情報掲載は、サイテーションの獲得にもつながり、Googleからの評価が上がり、マップ順位の向上も期待できます。

※サイテーションとは、「言及」「引用」という意味で、自社以外のウェブサイトやSNSで固有の店名やブランド名が掲載されることを言います。

まとめ

今回はGoogleマップをインバウンド集客に活用する方法をお伝えしました。

6つほど方法をご紹介しましたが、実際にこれらの対策を全て実行しているお店はほとんどありません。

日本におけるインバウンド向けのウェブサイトやSNSでの情報発信はまだまだ十分とはいえず、それはGoogleマップにおいても同様です。

だからこそ、できることからでも対策を始めることで早期に効果が見込めます。

弊社では、Googleマップを含む飲食店に特化したWebマーケティング事業を行っております。

インバウンド集客にも対応しておりますので、MEO対策でお困りの店舗オーナー様はお気軽にご相談ください。

Online illustrations by Storyset

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