クリニックの集患において、口コミの影響力は年々高まっています。
実際に来院前にGoogleマップなどのレビューをチェックし、評価を参考にする患者さまは少なくありません。
しかし口コミを集める方法を間違えると、景品表示法やGoogleのガイドラインに違反するリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、クリニックが押さえておきたい口コミ対策のポイントを詳しく解説します。これから口コミ対策に取り組みたいと考えているクリニックさまはぜひ参考にしてください。
クリニックの「Webマーケティング」に
取り組もうと考えている医院・クリニックさまへ

Clinic Clickは、医療・美容クリニック専門のWebマーケティングの総合支援サービスです。
医療広告ガイドラインを考慮したコンテンツマーケティング/広告運用だけではなく、Webマーケティングの戦略立案、SNSマーケティング、Webサイト改善、毎月のレポーティングなど、豊富な経験と実績を持ったメンバーたちがPDCAを実行し、丁寧にサポートします。
口コミマーケティングとは?
患者さまによる評価の投稿を通じて、クリニックの魅力を広く伝え、顧客獲得へと繋げる方法が口コミマーケティングです。
近年では、Googleマップなどの口コミを参考に来院を決める人が増加しています。
実際に、株式会社情報通信総合研究所が平成28年に実施した調査によると、20〜60代のすべての年代において、「口コミを読んだことが商品やサービスの購入決定に影響した」と回答した人は8割を超えていました。
その後もSNSやレビューサイトの普及により、口コミの影響力はさらに高まっていると考えられます。
口コミは、広告では把握できないリアルな情報源として、重要な役割を果たしています。
出典:GDP に現れない ICT の社会的厚生への貢献 に関する調査研究 報告書 | 株式会社情報通信総合研究所
口コミでプレゼントを贈呈するのは違法?

「口コミを書いてくれたらプレゼント贈呈」といった施策は、一見すると効果的な集患方法に思えますが、ほとんどのケースで景品表示法違反となります。
特にGoogleビジネスプロフィールでは、内容に関わらずプレゼント付きの口コミ依頼そのものがガイドライン違反になるため注意が必要です。
口コミを集める際には、各プラットフォームのルールにも気をつけながら行いましょう。
「口コミ投稿でプレゼント」で景品表示法違反になる行為
口コミを活用した集患施策において特に注意すべきなのが、「高評価の投稿を条件とする」「評価の内容に応じて特典を提供する」といった行為です。
これらは景品表示法によって禁止されています。具体的に詳しい内容を見ていきましょう。
患者さまに高評価の口コミを依頼する
口コミ投稿に対してプレゼントを贈呈する行為自体は、景品表示法上ただちに違反となるわけではありません。
しかし、「良い口コミをお願いします」「高評価でお願いします」など、評価内容を指定したり誘導したりする行為は違反に該当します。
また、クリニック側が口コミの投稿を依頼しているにもかかわらず、その関与を明示しない場合は「ステルスマーケティング」と見なされ、消費者を誤認させる不当表示とされる恐れがあります。
評価の内容に応じてプレゼントを提供する
「★5を付けてくれた方にプレゼント」など、口コミの評価内容によって提供する特典を変える行為は、景品表示法に違反するため注意が必要です。
このような施策は、利用者の評価を意図的に操作し、実態とは異なる過剰な評価を演出することに繋がります。結果として、ほかの消費者に誤解を与える不当表示とみなされるのです。
特に医療機関の場合、信頼性や安全性が重視されるため、虚偽や誇大な印象を与える口コミは重大な問題となり得ます。
口コミ投稿を促す際には、あくまで患者さまの自由な判断と体験にもとづいた投稿を尊重することが重要です。
「口コミ投稿でプレゼント」で景品表示法違反にならない行為
口コミ投稿に対してプレゼントを提供する行為であっても、患者さまが自らの意思で内容を決め、クリニック側が評価や内容に一切関与しない場合は、景品表示法違反には該当しません。
例えば、「口コミを書いていただいた方に粗品を進呈します」といった案内で、投稿内容の指定がなく、口コミと引き換えにプレゼントを一律で渡す場合は問題とされにくいと考えられます。
ただし、後述するようにGoogleビジネスプロフィールなど、一部のプラットフォームでは内容に関係なく「プレゼント付き口コミ依頼」自体がガイドライン違反となるケースもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、口コミ投稿にプレゼントを組み合わせた施策は基本的に行わない方が無難です。
Googleビジネスプロフィールではガイドライン違反になる
Googleビジネスプロフィールでは、クリニックが口コミ投稿を依頼する際にプレゼントを提供する行為自体が、たとえ投稿内容に関与していなくてもガイドライン違反とみなされます。

出典:禁止および制限されているコンテンツ – マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー | Googleヘルプ
これは、インセンティブによってレビューの公平性や信頼性が損なわれると判断されるためです。
違反が発覚した場合、該当する口コミの削除や、最悪の場合にはビジネスアカウントの停止といったペナルティが科される可能性があります。
一方で、プレゼントを伴わず、投稿内容を誘導しない形で口コミを依頼するのは認められています。
Googleのガイドラインは年々厳格化しており、意図せず違反となるリスクもあるため、必ず最新のルールを確認し、慎重に運用しましょう。
クリニックで良い口コミを集めづらい理由
口コミマーケティングは顧客獲得の有効な手段ですが、クリニックなどの医療サービスでは、良い口コミが集まりにくい傾向にあります。
なぜなら、多くの診療は1回で完了せず、治療途中の段階で患者さまが口コミを投稿するケースもあり、効果を実感しづらい時期に評価されることが少なくないからです。
また、来院時は体調不良や悩みを抱えた状態であることが多く、飲食店のように期待感を持って訪れるサービスとは異なり、心理的にもネガティブな評価がされやすい環境にあります。
満足していても口コミを積極的に投稿する人は限られており、結果として不満を持つ一部の患者さまの声が目立ってしまうのです。
口コミ対策ではステルスマーケティングに注意

良い口コミが集まりにくいクリニックでは、つい意図的に評価を高めようとした施策に頼りたくなることもあるでしょう。
しかし、過度な関与は「ステルスマーケティング(ステマ)」とみなされ、法令違反に繋がる恐れがあります。
口コミを活用した集患施策を行ううえでは、このステマを正しく理解し、リスクを避けるのが重要です。以下で詳しく解説します。
ステルスマーケティング(ステマ)とは?
企業が宣伝を目的として関与しているにもかかわらず、その事実を消費者に明かさずに口コミを発信する行為がステルスマーケティングです。
例えば、クリニックが患者さまに依頼して書かせた口コミを、それをあたかも自発的な投稿のように見せかけるのは、消費者の判断を誤らせる不当表示とされ、景品表示法の規制対象となります。
近年、SNSやレビューサイトの影響力が高まるなかで、こうした不透明な情報提供への監視も強化されています。
ステルスマーケティングに該当する行為の例
- 口コミで高評価を付けることを条件に割引券を提供
- タイアップしたインフルエンサーが投稿した内容を「PR」の表記なしで自社サイトに掲載
- スタッフや関係者が一般患者を装って口コミを投稿する
違反した際のペナルティやリスク
ステルスマーケティングを行い、景品表示法に違反すると判断された場合、消費者庁から措置命令が下され、その内容が公表されます。
ステマ行為に対して課徴金は科されませんが、行政処分の公表により社会的信用の低下やブランドイメージの毀損など大きなリスクが伴います。
口コミ対策を行う際は、短期的な評価向上を狙った不適切な方法ではなく、法令やガイドラインに沿った正しい運用を心がけることが大切です。
Googleビジネスプロフィールで良い口コミを集めるメリット
ステマ対策やガイドラインの遵守が求められる一方で、正しく集められた口コミはクリニックにとって大きな武器となります。
特にGoogleビジネスプロフィールに投稿された口コミは、患者さまの来院に繋がりやすいのが特徴です。
Googleマップ上で良い口コミが蓄積されることで得られるメリットとして、以下が挙げられます。
- 新規の患者さま獲得に繋がる
- 患者さまの再来院が見込める
- MEOで順位が上がりやすい
具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
新規の患者さま獲得に繋がる
多くの人が商品を購入する際に口コミを参考にするように、クリニック選びにおいて口コミは大きな判断材料となります。
初診の患者さまは不安を抱えながら情報収集をしており、第三者のリアルな声が来院の後押しになるケースが多いのです。
口コミの件数が多く、かつ評価の高いクリニックは、それだけで患者さまに信頼感を与えられます。来院に対する心理的なハードルが下がり、自然と集患にも繋がっていきます。
患者さまの再来院が見込める
口コミは既存患者さまの来院だけでなく、再来院を促すのにも効果的です。
例えば、過去に投稿された口コミを見返すことで、自身が受けた診療への満足感を再認識し、「またお願いしたい」と感じるきっかけになる場合もあります。
また、寄せられた口コミに対してクリニック側が丁寧に返信すると、患者さまの声を真摯に受け止めている姿勢が伝わり、信頼を高められます。
口コミは評価の蓄積だけではなく、既存患者さまとのコミュニケーションツールとしても重要な役割を果たしているのです。
MEOで順位が上がりやすい
MEO(マップエンジン最適化)とは、GoogleマップやGoogle検索で表示されるローカル検索結果において、自院の表示順位を上げるための施策です。
「新宿 美容クリニック」などと検索した際に表示される地図付きの店舗情報は、MEOの影響を大きく受けています。

Googleはローカル検索の順位を決める要素として「関連性」「距離」「知名度」の3つを挙げており、なかでも知名度は、口コミの数や評価の高さが関係すると公式に明言されています。

出典:Tips to improve your local ranking on Google – Google Business Profile Help
そのため、Googleビジネスプロフィールに良い口コミが多数集まると、検索上の露出が増え、来院機会の拡大にも繋がるのです。
Googleビジネスプロフィールで口コミを集める方法

良い口コミは患者さまの来院促進やMEO対策に効果的ですが、自然に集まるとは限りません。口コミを集めるには、クリニック側の適切な働きかけが重要です。
Googleビジネスプロフィール上で口コミを集めるために実践できる方法として以下が挙げられます。
- Googleビジネスプロフィールの機能を活用する
- 院内POPで患者さまに案内する
- 公式LINEに口コミのURLを記載する
口コミはGoogleのガイドラインを遵守しながら、患者さまの負担にならない形で案内するのがポイントです。
以下の記事でも口コミ対策を詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

Googleビジネスプロフィールの機能を活用する
Googleビジネスプロフィールには「レビューを依頼」という便利な機能があります。
この機能を使うと、患者さまに送る専用の口コミ投稿リンクを簡単に取得できます。
取得したリンクをもとにQRコードを作成し、レシートや案内用のカードなどに印刷して渡すと、来院後のスムーズな投稿を促せるでしょう。
直接リンクにアクセスしてもらえるため、口コミ投稿のハードルを下げやすく、自然な形で患者さまの声を集める仕組みが作れます。
院内POPで患者さまに案内する
受付や待合室にPOPを設置すると、患者さまへ自然に口コミ投稿を促せます。
例えば「ご意見・ご感想をお聞かせください」といった柔らかい表現を使うと、協力を得やすくなるでしょう。
POPだけでなく、スタッフが診療後に丁寧なお声がけを行うと、投稿率の向上も期待できます。
ただし、口コミ投稿への報酬やプレゼントの提供は、Googleのガイドライン違反となるため注意が必要です。金銭的なインセンティブを使わずに、投稿してくださった患者さまには口コミの返信などで感謝の気持ちを伝えましょう。
公式LINEに口コミのURLを記載する
来院後に公式LINEを通じて口コミ投稿のURLを案内する方法も、患者さまへの自然なアプローチとして効果的です。
多くの人が日常的に利用しているLINEであれば、負担感を与えずに投稿を促せます。
たとえば、診療後のフォローやお礼メッセージに口コミ投稿用のリンクを添えると、スムーズな導線が生まれます。
ただし、あくまで投稿は任意であることを明記し、誘導的な表現は避けましょう。
口コミ対策のポイント
口コミを集めるだけでなく、投稿された内容にどう対応するかも口コミ対策での重要なポイントです。
医療サービスでは、患者さまとの信頼関係が、継続的な来院に大きく影響します。
基本的な対応のポイントは以下のとおりです。
- 定期的に患者さまの口コミに返信する
- 低評価の口コミにも真摯に対応する
- 悪質な口コミには必ず返信する
詳しく解説します。
定期的に患者さまの口コミに返信する
患者さまからの口コミには、できるだけ早く、そして丁寧に返信しましょう。
投稿に対して感謝の気持ちを伝えるだけでも、好印象に繋がり、患者さまとの信頼関係を深めるきっかけになります。
また、返信はお礼だけでなく、患者さまとのコミュニケーションの場として活用するのも可能です。質問に対する簡単な補足や、今後の来院への一言を添えると、親しみや安心感が生まれるでしょう。
Googleビジネスプロフィールでは、ほかの閲覧者にも返信内容が見えるため、誠実な対応が周囲に伝わり、クリニックの印象向上に繋がります。
低評価の口コミにも真摯に対応する
低評価の口コミに対しても真摯に向き合う姿勢は、クリニックの信頼性を高めるうえで非常に重要です。
たとえ厳しい意見であっても無視せず、丁寧な言葉で感謝とお詫びを伝え、指摘された点について真摯に受け止めていることを示しましょう。
今後の対応策についても簡潔に説明すると、患者さま本人だけでなく、それを閲覧する第三者にも誠実さを印象付けられます。
ネガティブな内容こそ、対応次第で信頼に繋がるチャンスになり得るのです。感情的にならず、丁寧な対応を心がけることが、口コミ対策として大切なポイントです。
悪質な口コミには必ず返信する
事実と異なる悪質な口コミが投稿された場合は、放置せず必ず対応することが大切です。
無視してしまうと、その内容が事実であるかのような印象を与えてしまい、信頼低下に繋がる恐れがあります。
まずは冷静に事実確認を行い、確認の結果をもとに返信しましょう。例えば「ご指摘の内容について確認いたしましたが、当院では該当する事実を確認できませんでした」など、第三者にも伝わる形で説明するのがポイントです。
感情的な表現は避け、客観的な事実にもとづいた対応を意識しましょう。
誠実な姿勢を示すと、ほかの閲覧者にも安心感を与え、クリニック全体の信頼を守れます。
口コミマーケティングのその他の注意点

口コミは集患において有効な情報資源ですが、その扱いには注意が必要です。
医療機関においては、患者さまから寄せられた口コミを自院のWebサイトやパンフレットなどに転載し、広告として活用する行為は、医療広告ガイドライン違反にあたります。
ガイドラインでは、体験談を広告に用いるのを禁止しており、たとえ実際の患者さまの声であっても、掲載すると違反とみなされます。
Googleビジネスプロフィールやレビューサイトに自然に投稿された口コミは問題ありませんが、それを広告として転用するのはできませんので、注意しましょう。
口コミ投稿でプレゼントは違法になるケースも!正しい知識で集患しよう
口コミは患者さまの信頼を得るための重要な存在ですが、その集め方を誤ると、景品表示法やGoogleガイドラインに違反するリスクがあります。
「口コミ投稿でプレゼントを贈る」といった行為は、ほとんどのケースで法令・ガイドラインに抵触します。Googleビジネスプロフィールでは、内容に関係なく報酬付きの口コミ依頼が禁止されており、違反するとアカウント停止などのペナルティも受けかねません。
安心して口コミを活用するには、正しい知識のもとで、患者さまに負担をかけないように投稿を促しましょう。
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